理事長挨拶

NPO法人日本論文教育センターGlobe理事長の今野です。若い人たちがサイトをリニューアルした機会に、この組織を起ち上げた理由と目的について申し述べます。

このGlobeを設立した理由は、家庭という輪のなかから次第に大きな世界へ入ってゆく過程で若い人々の心におのずと募ってくる、「もっとわかりたい」という欲求に応えることでした。その欲求はひとりの人間として生きているうちに否応なく芽ばえてくる、「人間とその世界」を理解したいという欲求です。受講生は主に10代後半から20代前半の人々で、設立は2002年のことです。それから10年以上も過ぎた今日、教育の世界とそれを取りまく社会の状況は大きく変わり、受講生の年齢も上下に幅が広がっておりますが、設立理由は依然として同一のままです。Globeの設立をもとめた若い人々の欲求それ自体が、時流にあまり関わりのないところで成り立っているからだろうと見ております。

その若い人々がそれぞれ自分の欲求の根にあるものに一応の見当をつけて社会に出てゆくこと、自分のわかりたいと思ったことが生涯の課題であると知って敢然と仕事に立ち向かえるようになること、つまり――少々大げさになりますが――2000年以上にわたって人間が人間自身にかかわる貴重な認識として蓄積してきた膨大な知識・理解も、その根本は個々人が一生のうちに経験するものであると知って人のなかに生きること、これが設立の目的として想い描いていたことです。

授業はゼミ形式で行います。種々の文章を一語ずつ一文ずつ丹念に読みながら、内容をみんなで話し合い、次いで各自がみずから文章を書くことで問題となる事柄を明らかにする。書いたものは添削され、翌週みんなで話し合う素材になる。ひとしきり話し合ってから文章をさらに先に進む。こうしてゼミを続けると、手の届かない高みに据えられた権威も仰ぎみなければならないものではなく、自分たちと同じように試行錯誤を重ね、邪念を振り払えなかったことがわかってきます。たとえば有名な『パンセ』は青年の思想で、パスカルは自分の思考を展開できていない。20世紀の代表的な社会学者M・ウェーバーは意外に自分が見えておらず、学者らしからぬ文章を書いている。みずから文章を書きながらこうした事実を発見するたびに、受講生は彼らも種々の弱点をもつ生身の人間であることを確認すると同時に、それまでの自分が見え、新たな現実が広がってくることを実感します。これは大学のレポートに見られない特徴です。20年以上も前に大学入試に論文が導入されたときには、このような勉強が期待されていたのだろうと私は推測しています。

Globeでは、この勉強を高校生もできるように、現代文からはじまる講座を幾つか設けています。小学生の講座も設けています。受講した高校生は例外なく学科の点数が上がり、受験の準備ができています。わかることが第一で、わかれば点数は後からついてくるのです。このサイトを訪れる人々には、できるだけ多く、開設してある講座を活用していただきたい。そして制度教育に携わっている人々には、本当にわかる授業、経験を豊かにする授業をしていただきたい。Globeの勉強について説明するためなら私はどこへなりとも出かけてゆく所存です。そう申し添えてこのメッセージの締め括りのことばにいたします。

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